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1)患者因子
継続群には、病状を理解し、積極的に治療に協力できると評価された患者が多かった。これは在宅患者に限らず、疾病を克服するのに必要な意識である。患者がこの意識を強くもつことが、在宅療養を継続していくうえで非常に重要な要素となる。
ところで、継続群・中止群に限らず多くの患者において「自宅の療養を望む」という結果が出た。これは、住み慣れた家で家族に囲まれて暮らしたいという、人としてあたりまえの希望であろう。

 

2)介護者因子
本研究の介護者因子を検討した結果から、介護力は重要な因子であることがわかった。様々な疾患を持つ患者が強く在宅療養を望んだとしても、介護力がなければ継続は困難という結果であった。
ここで、マンパワーについて考えてみると、介護に専念できる人は、継続群でも約半数であった。介護を頼める人がいるかという点については、継続群では69%、中止群では26%と差が認められた。核家族化・高齢な配偶者との2人暮らしという状況が増加しつつあり、たった一人で介護する状況の増加が予想される。これらの現状をふまえても、介護者を社会的に支える制度の早期導入が必要であると考える。

 

3)家庭環境と社会資源
環境の整備は、患者がよりよい状態で在宅療養を続けるために大切な要素であることが証明された。多額の出費をかけなくてもすむ環境の整備を介護者に勧めるべきである。
社会資源の活用については、継続群・中止群ともに利用率が少なく、現状では継続するための要素とはいえない。利用されなかった理由の1つは、公的サービスの内容や手続き方法など理解されていなかったことが多い。しかし、介護者の負担の軽減を考えた時、社会資源の有効利用は不可欠であり、在宅ケアの開始条件として公的サービスを受ける事を掲げてでも、我々は多くの患者に利用してもらいたいと考えている。又、行政側から啓蒙などをふまえた広報活動の充実の更なる改善を望みたい。

 

 

 

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